研究概要 |
今年度は,まずジャイロセンサを用いてカメラの動きベクトルを抽出し,リアルタイムに動画像をカメラから計算機に取り込むための機構を構築した. 次に,ジャイロセンサから得られた動きベクトルと画面の動きから得られた動きベクトルを比較し,ジャイロセンサからの情報から,正しく動きベクトルが求められることを証明した.誤差は,多くとも,数ピクセルであった. 室内,屋外にて,構築したシステムにより動画像とジャイロセンサからの情報をリアルタイムに取り込み,そのサンプル画像を用いて,提案手法の有効性を評価した.提案手法は,被写体に対応した「中央領域」,背景に対応した「ジャイロ領域」,周辺からの予測に求める「予測領域」の3領域を適応的に探索することで,動きベクトルを求める.それぞれの領域を足しても,従来手法の探索範囲より大幅に狭くなる.ある程度良い動きベクトルが求まった時点で探索を中止することにより,さらに演算量を減らすことができ,サンプル画像では,演算量を全探索の1/3から1/5に減らすことができた.「ジャイロ領域」はカメラの動きが激しい場合,従来の全探索手法で探索する範囲を越えて探索することになり,画質の向上に寄与する.実際に,動きの激しい画像や,フレームレートが小さい画像で画質の向上を確認することができた. 本研究の成果を積極的に発表し,日本工業新聞の記事として採用された.次年度は,動き補償だけではなく,動画像から背景をリアルタイムに抽出する個とも検討してみたい.
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