研究概要 |
パルス周波数変調方式(PFM)はアナログ出力をパルス周波数に変換する方式であり,神経節における出力方式として用いられている.我々はこれまでPFM方式の画素回路を試作し,その基本特性の検証を行ってきた. 今回PFM方式ビジョンチップの低電圧駆動時の動作を詳細に検討した.低電圧下では光電流と充電電流が拮抗するため充電時間が長くなり,その結果パルス幅が広がり,これがパルス出力特性を劣化させていることが分かった.まず電源電圧Vdd=1Vと0.7Vにおける出力パルス周波数の入力光強度依存性を調べたところ.Vdd=1Vでは入力光強度に対してほぼ線形にパルス周波数が増加しているのに対して,Vdd=0.7Vでは飽和傾向となることが分かった.これは電源電圧低下によりリセットトランジスタからのドレイン電流が減少したため,フォトダイオードからの光電流と充電電流とが拮抗し,充電時間を要するようになり,パルス幅が増大しているためである.実際,出力パルス幅の入力光強度依存性の実験結果より,Vdd=1Vでは殆どパルス幅に変化がないのに対し,Vdd=0.7Vでは入力光強度に依存したパルス幅となっていることが分かった. また128×128画素PFMアレイチップを試作し,撮像による基本特性を確認した.PFMは非同期動作が可能なため個々の画素は独立して動作する.従って本センセは通常と異なり走査用のスキャナが不要であり,代わりに外部からの任意画素アクセスを可能とするデコーダを搭載している。消費電力は画素当り約7μWであった.
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