研究概要 |
本年度は特定用途向け高性能低消費電力プロセッサシステムに対するアーキテクチャの検討を行った。また,設計ツールおよびコンパイラなどの基本ソフトウェアの開発を行った.具体的には,1.電圧スケジューリングの基本オンラインアルゴリズムを,オペレーティングシステム(以下OS)のタスクスケジューラに実装する上での問題点を議論し,一般に広く使用されているリアルタイムOSの一つであるμITORON仕様のOSに,改良したアルゴリズムを実装した. 2.Valen-C言語をプログラミング言語として利用する際に,動作記述中の各変数の有効ビット幅とアクセス頻度の情報を利用することにより,システムのパフォーマンスとコストが最適となるデータパス幅を設計の早い段階で見積もる手法を提案した.この手法を用いることにより,シミュレーションとデータパス幅の変更を繰り返すことなくシステムのデータパス幅を決定することができた. 3.画像処理や音声処理において出力デバイスの性能のためにデータの下位ピツトを切り捨てても出力にほとんど影響が現れない場合,計算の精度を考えながらシステムの面積や消費電力を削減する手法,および,品質を主観的もしくは客観的に評価するためのモデルを提案した. 4.プロセッサとメモリの電力モデルを構築し,データパス幅とメモリの語長を変化させ,パフォーマンスの制約を満たす範囲で消費電力を最小化する技術を開発した. 5.データメモリの構成をアプリケーションに応じて最適に決定することにより,組込みシステムのエネルギー消費を最適化する手法を提案した.
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