プリムネシンの14位アミノ基にキラル異方性試薬を導入し、反応物のNMRスペクトルを解析することにより、アミノ基の結合した14位の絶対配置決定に成功した。また、塩素の結合した85位の絶対配置とエーテル環部の相対立体配置の決定に成功した。さらに、NMRスペクトルの測定や化学反応に供するために必要な、大量のプリムネシン類を確保するために、ハプト藻Prymnesium parvumの大量培養を行った。また、分子内^<13>C濃度を上昇させるために、^<13>C-CO_2通気培養と^<13>C-Na_2CO_3添加培養を行い、取り込み率を比較した。その結果、藻体全体に対する^<13>C-CO_2通気培養時の取り込み率は、4.7%であった。一方^<13>C-Na_2CO_3添加培養の取り込み率は、3.7%であった。取り込み率は低かったが、培養方法の容易であった^<13>C-Na_2CO_3添加培養を300L行った。^<13>C-Na_2CO_3は、海水培地に対して50mg/Lの濃度で添加した。プリムネシンは、非常に溶解性が限られ、プロパノールなど一部の溶媒にしか溶解しない。プリムネシンの溶解性を向上させ、大量処理を行えるように、精製途中で完全アセチル化反応を行い、精製を進めた。最終的に4.9mgの完全アセチル化プリムネシン-2を単離して、HETLOCやHMBCなどのNMRスペクトル測定を行った。
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