研究概要 |
まず,プローブ分子のデザインを行った.この場合,Zn^<2+>のホストに蛍光団に直接結合させ,Zn^<2+>の配位により蛍光団のHOMOエネルギーを低下させることにより,蛍光が変化することをもくろみZnAF-1とZnAF-2をデザイン・合成した.ZnAF-1またはZnAF-2を含む溶液にZn^<2+>を加えると,蛍光強度がZnAF-1では約17倍に,ZnAF-2では約51倍に増大した.Zn^<2+>依存の蛍光は励起波長492nm・蛍光波長514nmと可視光励起が可能であった.錯体形成速度k_<on>は4.0x10^6M^<-1>s^<-1>であり,瞬時にZn^<2+>イオンを捉えることが示された.次に、最も高感度であるZnAF-2を細胞膜を透過できるように修飾したZnAF-2 DAを合成した.ZnAF-2 DAはフェノール性の負電荷を保護してあるため,細胞膜透過性を有し細胞質内のエステラーゼによって脱アセチル化され,細胞質内に留まりやすくなる.ZnAF-2 DAを含む溶液を用いてラット脳スライスを用いて,虚血時におけるZn^<2+>の濃度の変化の変化を可視化解析した.無刺激時には,海馬のCA3領域及び歯状回においてZn^<2+>が高濃度存在した.低酸素・低グルコースの虚血刺激では,CA1領域においてZn^<2+>濃度が大きく変化した.このZn^<2+>濃度変化はTPENによって阻害された.以上の結果から,ZnAF-2は生きた状態でのZn^<2+>の濃度の変化を可視化できることが示された.
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