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2002 年度 実績報告書

クリガニの性フェロモン、特にガード行動誘起フェロモンの同定

研究課題

研究課題/領域番号 13024220
研究機関東京大学

研究代表者

伏谷 伸宏  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70012010)

キーワード水圏現象 / 分子認識 / 化学生態学 / 生体生命情報学 / 行動学
研究概要

水産上重要なケガニ近縁のクリガニTelmessus cheiragonusにおいては、メスの脱皮前十数日からオスがメスを抱きかかえる「ガード行動」と呼ばれる特有の保護行動をとる。メスが脱皮するとすぐに交尾を行うが、オスの「ガード行動」はさらに2週間ほど続く。オスは、メスが尿中に分泌するフェロモンに反応してこの特有な行動をとることが判明したので、その同定を試みた。
予備実験の結果、フェロモンは分子量500以下の高極性水溶性物質と推定されたので、北海道の臼尻周辺で採集した交尾期メスから採取した尿をSephadex G-50カラムで分画して得られた活性画分をさらにToyopearl HW-40でゲル濾過を行った。しかし、活性は広い範囲に分散してしまい、活性物質濃縮することはできなかった。この他、逆相カラムやイオン交換樹脂による分離を試みたが、いずれも活性物質を濃縮することができなかった。そこで、上記ゲル濾過で得られた活性画分に含まれる物質について、液体クロマトグラフィーおよび機器分析により詳細に調べたところ、トリゴネリン、トリメチルアミンオキサイド、尿素、コハク酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウムが検出された。スポンジ法でこれらの物質、個々についてフェロモン活性を調べたが、いずれも明確な活性を示さなかった。さらに、これらの混合物についても試験をしたが、同様な結果であった。なお、トリゴネリンの近縁のホマリンとニコチン酸についても調べたが、かえって忌避的な反応を誘起した。これまでの実験からフェロモンの検出には、行動実験だけでは十分でないことが判明したので、現在電気生理学的な手法を検討している。
なお、本研究中に発見されたオスに交尾行動を誘起するフェロモンについても、化学的な性質や分泌部位などの検討を行った。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] M.Kamio, S.Matsunaga, N.Fusetani: "Copulation pheromone in the crab Telmessus chairagonus (Brachyura : Decapoda)"Marine Ecology Progress Series. 234. 183-190 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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