病原性マイコプラズマに由来する新規糖脂質GGPLsの絶対構造・生理活性相関の解析

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13024236
• 研究種目: 特定領域研究(A)
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 西田 芳弘 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (80183896)
• 研究分担者: 小林 一清 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10023483) ; 松田 和洋 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 主任研究官 (80251502)
• キーワード: 糖鎖 / 糖リン脂質 / 生理活性 / グルコシル化 / リュウマチ / マイコプラズマ / クラスター / 人工糖鎖高分子

研究概要

病原性マイコプラズマ類の一種であるM.fermentansは血液細胞に強い親和性をもちリュウマチの原因のひとつであると強く疑われている。最近では、ヒト成人白血病ウイルス(HTLV-1)に感染したヘルパーT細胞(MT4)に強い接着活性を示すなど、重要な生理活性が確認されている。しかし、これら病原性の生化学的機構については、殆ど明らかとされていなかった。本研究では、天然GGPLsの化学合成法を確立し、それらの生理活性を明かとするとともに、GGPLsの立体構造異性体と分子ミミックのライブラリー合成を行い、GGPLs構造と生理活性の相関を明らかとすることを目的とした。
1.α-グリセロ糖脂質の一般的合成法の確立と天然型GGPLsの合成 従来、グリセリド部位の立体配置制御が困難であったが、光学活性グリシドールと糖ハライドとのイオン接触法によるグリコシル化を経由する方法により、Sn1とSn-3の両方の立体配置を持つα-グリセロ糖脂質を得ることができた。この方法を利用して天然型GGPLIとGGPLIIIの合成にも成功した。
2.GGPLs多価モデル並びに蛍光標識GGPLsの合成と免疫賦括活性 GGPLsのI型を側鎖に有する人工糖鎖高分子化合物を合成した。さらに免疫賦括活性をGGPLsと比較を行った。その結果、血清に分散させた合成GGPLs(IとIII型)には、TNFαとIL6の生産活性がほとんど確認されなかったが、GGPL-Iクラスターモデルは濃度に依存した明らかな活性を示し、強い多価効果が確認された。

研究成果

• [文献書誌] Y.Nishida 他4名: "The First Bovine beta-1,4-Galactosyltransferase Reaction with an Acyclic Acceptor Substrate, 3-Acatamido-1,2-propanediol"Org. Lett.. 3. 1-3 (2001)
• [文献書誌] Y.Nishida 他4名: "Crystal Structure of Methyl 5-Acetamido-2-t-butyl-2-methyl-1,3-benzodioxole-4-corboxylat"Anal. Sci.,. 17. 685-686 (2001)
• [文献書誌] K.Kato 他10名: "Syntheses and Biological Evaluations of alpha-D-Mannosyl [60]Fullerenols"Bioorg. Med. Chem. Lett.,. 11. 2935-2937 (2001)
• [文献書誌] H.Dohi 他7名: "Molecular Design and biological Potential of Galacto-type Trehalose as a Non-natural Ligand of Shiga Toxins"Org. Lett.,. 4. 355-357 (2002)
• [文献書誌] H.Dohi 他3名: "o-Methoxycarbonylphenyl 1-thio-beta-D-galactopyranoside, A non-malodorous thio glycosylation donor for the synthesis of globosyl alpha(1-4)-linkages"Synlett.,. 1446-1448 (2001)