研究概要 |
アフリカツメガエル皮膚由来でmagainin2とPGLaは1:1の高活性超分子を形成し,相乗効果を示すと推定されている.そこで,この超分子を化学固定して単離するため,次の4種のCys含有ペプチドをFmoc固相法により合成した. magainin2アナログ Ac-CGGGIGKWLHSAKKFGKAFVGEIMNS-amide(I) Ac-GIGKWLHSAKKFGKAFVGEIMNSGGC-amide(II) PGLaアナログ Ac-CGGGMASKAGAIAGKIAKVAWKAL-amide(III) Ac-GMASKAGAIAGKIAKVAWKALGGC-amide(IV) (I)-(III),(I)-(IV),(II)-(III),(II)-(IV)の4種の等モル混合物をバッファー中,トリフルオロエタノール/バッファー(3:2)中,およびホスファチジルグリセロール/ホスファチジルコリン(1:1)リポソーム中で空気酸化し,生成物をHPLCで分析した.ペプチドがランダム構造をとるバッファー中では,いずれの組み合わせにおいても特別な分子認識がないことを示された.一方,ペプチドがα-ヘリックス構造をとるリポソーム中では,(I)-(III)および(II)-(IV)の組み合わせでヘテロダイマーが優位に形成され,magaininヘリックスとPGLaヘリックスがパラレルに会合した超分子が形成されることを示している.この化学架橋したパラレル超分子を単離したところ,モノマーに比べて10倍以上の高い膜透過性上昇作用を示したことから,この超分子形成が相乗効果発現のメカニズムであると結論された.また,トリフルオロエタノール/バッファー中でもペプチドがα-ヘリックス構造をとるが,このとき分子認識は起こらず,膜の重要性が明らかとなった.
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