研究概要 |
1.コレステロール生合成の律速段階を触媒するスクアレンエポキシダーゼ(SE)の部位特異的突然変異の導入による酵素構造機能相関の検討。SE酵素活性中心構造の解明と構造機能解析を目的として、ラット酵素の保存アミノ酸残基のうち、基質との相互作用が予想される芳香族アミノ酸残基に焦点を絞り、一連の部位特異的変異酵素を作成して酵素活性や酵素反応の立体化学に及ぼす影響などを検討した。F474,F492,F523,F524などの残基に関して一連のアラニン置換体を作成した結果、ポイントミューテーションの導入により基質特異性と生成物特異性が大きく変化することを見出し、SE酵素の構造機能相関と酸素添加酵素反応の立体化学の制御といった問題を考える上できわめて興味深い知見を得ることに成功した。 2.SE新規酵素阻害剤として見出した没食子酸エステルをリードとする酵素阻害剤の分子設計、合成、活性評価。昨年度に引き続き、新規酵素阻害剤の検索を行い、エラジタンニンやその構成成分となる一連の合成HHDPエステルについて、活性を検討したところ、(S)-HHDP基をもつEugeniin (IC50=1.6microM)が顕著な酵素阻害活性を示し、さらなる活性の最適化を検討した。 (3)昨年度に引き続き、N末端の100アミノ酸残基からなる膜結合ドメインに加え、C末の膜結合部位の一部も同時に欠損させた組み替え酵素を作成し、可溶性組み替え酵素の結晶化を試みた。
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