研究概要 |
1.磁性薄膜の開発 (a)コイル辺の方向に応じて直交する2方向にスリット群を入れ、実効的に電気抵抗が高くかつ共鳴周波数も高いRF帯材料を得た.具体的には0.1μ厚のCo_<85>Nb_<12>Zr_3薄膜に8μmピッチで3μm幅のスリットを設けることにより,共鳴周波数は3.5GHzと膜本来に比べて約5倍とした.また,膜の飽和磁化と異方性磁界を与えれば,パターン化寸法によって共鳴周波数と透磁率を算出できるチャートを開発した. (b)グラニュラ膜のなかでCoAlPdO,(CoFeB)SiO_2膜,CoZrO膜が1GHzまで透磁率実部がほぼ一定で,虚部が無視できる材料であることが見いだされた. 2.第1次設計・プロセス開発 本研究で提案する閉磁路型RF集積化インダクタのプロセスチャートを完成させ,プロセスのポイントが磁性膜下部に傾斜した誘電体層を作り上げること,ならびにコイル面上部のラッピングプロセスにあることを示した.いずれも5μmに及ぶ段差に対するプロセスのため,CuCMPならびに高密度磁気記録ヘッドの作成プロセスを融合させたプロセスとすることで,試作に入った.次年度は,予定通り目標とする構造を確実に作り上げる. 3.測定・解析 試作インダクタの電気特性を〜5GHzまで測定し,等価回路パラメータの抽出とその周波数特性を求め,磁性膜によって5GHzまで有効にインダクタンスが増加したことを明らかにした.電磁界シミュレーションによって,磁性膜の膜厚,抵抗率,透磁率とインダクタンスとの僕係を明確にした.
|