FSA(Fluidic Self-Assembly;液中自己組織化)法を用いると外部で多様な処理を施した材料を複雑な微細構造内に導入できる。本研究では磁力と疎水性相互作用とを同時に利用しながら配置され、かつ電極として利用可能なバイオ素材用の担体粒子を微細加工した。導電性撥水構造はNi/PTFEの複合メッキにより実現した。厚膜フォトレジストSU-8構造へのニッケル電鋳による粒子作製後年リフトオフするため、犠牲層として蒸着銅薄膜を利用し、チオ尿酸による選択的エッチングにより導電性粒子を得た。同様に作製した基盤のニッケルを磁化させ、作製した粒子を液中に懸濁させることで配置されることを確認した。この際、粒子にあらかじめ固定化しておいた酵素活性を化学発光法により確認することができた。この構造に識別子構造を付与することもできた。また、疎水性相互作用による流路内への配置を実証した。SU-8の多段階リソグフフィーにより片面が平坦で反対面に段差を有する構造を得た。犠牲層として蒸着アルミニウム層、疎水面として擾水性ポリマー薄膜(cytop)を形成後、上記のSU-8構造をパターニングし酸素プラズマ処理により下層の余分なcytop層を除去しながら同時にSU-8側表面を親水化し、最後に微細粒子を作成した。これにより底面と平行な平面で構成された透明構造を持つ光学分析に適した粒子を作製できるようになった。SU-8鋳型を利用するポリジメチルシロキサン製の流路に微細な溝を形成することで粒子の配管中への吸着を抑制し、粒子の衆差構造により粒子同士の重なり合いを抑制することができ、流路内でのFSAを確認することができた。
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