研究概要 |
自己クローニング法のもとになる周期的な孔や溝を持った基板の作製については,EB露光と二重露光干渉法で並行して実験を進めている.今のところ,自己クローニングによる3次元フォトニック結晶作製の第一段階として,二重干渉露光と高周波スパッタによりCdS2次元フォトニック結晶構造を形成し,PLスペクトルの狭窄化を確認している. Si:SiO_2膜も可視の発光材料として有望である.サンプルは,SiO_2(65mm^φ)上にSiタブレット(20mm^φ)を何枚かのせたものをターゲットとする高周波スパッタによりに成膜する.成膜中の基板加熱も行わない.従来はアニールが必要で,主に赤色に発光するとされていたが,我々の実験では,アニールなしで,作製条件によって白色や青色の発光を示すことが分かった.フォトルミネッセンス(PL)は,室温において肉眼でも確認できた.Si微粒子のサイズの測定は現在行っている途中なので断定的なことは言えないが,発光に寄与するサイズのSiナノクリスタル(nc-Si)が自動的に形成されていると考えられる.測定されたPLスペクトルは吸収端エネルギーに依存しない低エネルギー側のピークと,吸収端エネルギーに対応した高エネルギー側のピークを明瞭に示している.これは,1.6〜1.7eV付近の発光ピークはnc-Siと周囲のSiO_2の界面が関与し,高エネルギー側の発光ピークは量子閉じ込め効果で高エネルギー側にシフトしたバンドギャップエネルギーに対応したものであるという従来の仮説と矛盾するものではない.しかしながら,高エネルギー側の発光もnc-Siと周囲のSiO_2の界面が関与しているという可能性もあり,メカニズムの解明はこれからの課題である.現在,フォトニック結晶構造への取り入れを目指すと共にEL化も試みている.
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