研究概要 |
(1)局所的な発光ダイナミクスを解明するには,試料の定常(CW)状態のみならず時間分解にてルミネッセンスをマッピングすることが不可欠であり,そのための接場光学顕微鏡(SNOM)装置を開発した。時間分解の励起光源としてモードロックTi/Sapphireレーザの2倍高調波(λ=400nm)を使用し,発光の検出にはストリークカメラを用いた。また,キャリアの拡散による空間分解能の低減を避けるため,光励起と発光検出を同一のファイバープローブで行うIllumination-Collectionの配置で行った。現状ではCW測定で空間分解能が30nm,時間分解測定にて200nmの空間分解能と10psの時間分解能を達成している。その結果,青色発光InGaN-SQW構造における測定において,局在に伴う発光強度の分布と,それを裏付ける発光再結合寿命のラインスキャン結果が得られている。今後,ファイバープローブの高スループット化と検出器の暗電流を極限まで低減させて,前者で10nm,後者で50nmの空間分解能を目指したい。 (2)短波長光領域における励起子効果の発現を目指し,ワイドギャップZnMgO薄膜のMBE成長を行った。サファイア基板上にZnOバッファ層の採用により,Mg組成0.5までの六方晶ZnMgO薄膜の成長が可能となり,ZnMgOダブルヘテロ構造において障壁層および活性層からそれぞれ4.06eV,4.43eVのPLを14Kにおいて得ることができた。また,励起子局在化の人為的な空間制御を目指し,集束イオンビーム(FIB)加工SiO_2基板上にZnOナノドットの整列に成功した。加工形状の工夫により単一ドットの位置制御も可能となり,今後サイズ制御と合わせて発光波長の制御に向けた研究を行う予定である。
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