研究概要 |
平成13年度は、波長多重通信波長域で、高い発光効率が期待できる種々の酸化物ガラスを基本組成とし、希土類として波長1.55μm,1.45μmに発光を有するEr^<3+>,Tm^<3+>イオンをドープした試料を溶融法で作製した。純度99.99%以上の試薬(Sb_2O_3,SiO_2,Al_2O_3,TeO_2,ZnO, Na_2CO_3,Y_2O_3)を用いたバッチ組成を溶融することにより、ガラス試料を得、切削、鏡面研磨し、光学測定に供した。 蛍光寿命は、Tm^<3+>:^3H_4準位あるいは、Er^<3+>:^4I_<11/2>準位を励起し、分光器により蛍光を分光し、InGaAsフォトダイオードとオッシロスコープにより検出した。得られた蛍光減衰曲線から寿命を求め、始準位の量子効率を算出した。 ガラス組成と希土類濃度を系統的に変えて実験を行い、組成と量子効率の関係を明らかにした。また温度を変えて測定することにより、その温度依存性も明らかにした。 Tm^<3+>ドープガラス試料も作成し、光物性を調べた。その蛍光スペクトルは、温度低下に伴い1.8μm帯ピークの半値幅は減少したが、1.4μm帯ではそれほど変化しなかった。また、50K以下で1.4μm帯ピークはいくつかに分裂した。さらにこの過程において、1.8μm帯発光に対する1.4μm帯発光強度比の増加、1.4μm帯発光の重心波長の長波長化がみられた。重心波長は300Kにおいて1465nmであったが、温度の低下ともに短波長シフトし、25Kでは1485nmまで変化した。これらの発光特性は、従来のフッ化物とEDFAとの中間空白領域で使用されるS-バンドの光ファイバ増幅器への応用可能性が示された。 また、Tmドープフッ化物ファイバの光増幅特性評価システムを構築し、励起光波長と強度を変えて増幅利得スペクトルを測定した。
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