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2002 年度 実績報告書

哺乳類の生殖活動に与える毒性のメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 13027213
研究機関東京大学

研究代表者

守 隆夫  東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011659)

研究分担者 松田 学  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30282726)
キーワードマウス / 膣 / 精巣上体 / 輸精管 / ビタミンA / エストロゲン / ビスフェノールA
研究概要

近年、合成の化学物質が内分泌攪乱物質として野生動物あるいはヒトに対しても、様々な悪影響を及ぼしているとの報告がある。この点を確かめ、その作用機構を解明し、さらに影響軽減の方策を探るのが本研究の目的である。出生直後のマウスにエストロゲンを投与すると、その動物が成体に達した時点で卵巣を除去しても、膣の増殖が進行し、やがて癌化することが知られている。各器官が未分化な時期のエストロゲン暴露は不可逆的異常を引き起こすことから、内分泌攪乱物質の影響としても最も危険なものと考えられている。このマウスモデルを用いて、エストロゲンと同時にビタミンAを投与すると、エストロゲン作用が抑えられることが本研究代表者により明らかにされている。そこで本研究では、ビタミンAによるエストロゲン作用の阻害機構を明らかにするため、膣上皮のエストロゲン受容体の変動を調べた。その結果、ビタミンAはある意味で、all or none的にエストロゲンの細胞に対する作用を阻止していることが判明した。これらの研究と並行して、内分泌攪乱物質とされるビスフェノールAの幼若マウスに対する投与が、エストロゲンの場合と同様に、動物が成体になった時点での精子数の減少という影響をもたらすことを再確認し、さらにその影響もビタミンAにより阻止されることを明らかにした。加えて、ビタミンA不足の母親の子に、単独投与では影響のない低濃度のビスフェノールAを投与すると影響があらわれることから、体内のビタミンAの濃度が内分泌攪乱物質の毒性作用であるとの示唆を得た。すなわち幼若期のエストロゲン暴露は、ビタミンAの代謝系を制御する酵素の一つCRBP2の異常発現を引き起こすらしいとの結果を得つつある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Imaoka et al.: "Cortactin-binding protein 90 (CBP90) expression in the mouse mammary glands during prolactin-induced lobuloalveolar development"Zoological Science. 19. 443-448 (2002)

  • [文献書誌] K.Kuma et al.: "UFT and mammary tumors in rodents"Medical Postgraduates. 40. 274-279 (2002)

  • [文献書誌] Y.Akazome et al.: "Differentiation of chicken gonad as an endocrine organ : expression of LH-R, FSH receptor, cytochrome P450c17 and aromatase genes"Reproduction. 123. 721-728 (2002)

  • [文献書誌] T.Mori et al.: "Priming effects of novel nonsteroidal progesterone receptor modulators CP8816 and CP8863 on the development of adenomyosis in the mouse uterus"Life Sciences. 71. 527-535 (2002)

  • [文献書誌] T.Mori et al.: "A matrix metalloproteinase inhibitor, ONO-4817, retards the development of mammary tumor and the progression of uterine adenomyosis in mice"Anticancer Research. 22. 3985-3988 (2002)

  • [文献書誌] F.Masui et al.: "Vitamin A prevents the irreversible proliferation of vaginal epithelium induced by neonatal injection of KGF"Cell Tissue Research. 187(in press). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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