研究課題/領域番号 |
13027220
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
和田 勝 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (40100953)
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研究分担者 |
奈良 雅之 東京医科歯科大学, 教養部, 助教授 (90301168)
岡崎 三代 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (20013998)
服部 淳彦 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (70183910)
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キーワード | 鳥類 / 内分泌撹乱 / ビテロジェニン / VLDL |
研究概要 |
血清タンパク質ビテロジェニン(Vg)および超低密度リポプロテイン(VLDL)の測定により、エストロジェン暴露を評価できることが確立できたので、この方法を野鳥に適用するためにサンプル調整法等の検討を行った。野鳥で評価を行う際に、捕獲するのではなく駆除あるいは事故などにより得られた死体を使うことができれば、幅広い種で検討が可能となる。死体から血漿サンプルを得ることは難しいので、肝臓などの臓器サンプルで評価できればこの方法が適用できる。そこでウズラを使い、肝臓中のVgの含量、保存方法による含量の変化を検討した。産卵中のウズラから得た肝臓を冷凍庫(-30℃)及び冷蔵庫(4℃)に保管し、1週間、1ヶ月、3ヶ月後に取り出して再び肝臓を採取しサンプルとし、組織中のVgをELISA法で測定した。冷凍庫に保管すればほとんど減少は認められないが、冷蔵庫の保管では1週間で1/4に減少してしまい、1ヶ月では1/100、3ヶ月ではほとんど検出できなくなった。正常な雌の産卵に伴う血中VgおよびVLDLの変動を把握するため、16L8D(点灯0800消灯2400)下で産卵している雌から2時間おきに採決し、血中のVgとVLDLを測定したところ、排卵周期に伴う卵黄蓄積を反映するような変動のパターンはどちらにも認められなかった。また血中エストラジオールの濃度にも大きな変動は認められなかった。キンカチョウにエストラジオールを投与し、血中のVgとVLDL濃度を測定したところ、最大濃度でVgビテロジェニンの血中濃度は上昇したが、VLDLでは明瞭な変化が認められなかった。Vgによってエストロジェン様物質暴露を評価するには、血中濃度を測定することがもっとも良いが、肝臓中の含量により評価するときは新鮮な死体をなるべく早く冷凍保管する必要がある。また、サンプル採取時刻による測定値の違いはあまりないだろうと推測される。早成性のウズラと晩成性のキンカチョウの差についてはさらに検討する必要がある。
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