研究概要 |
天然からは中大員ヘテロ環構造を持つ化合物が多数単離されており,顕著な生物活性を示す化合物も多い。二ヨウ化サマリウムによるBarbier型カップリング反応を利用することで,7〜9員環エーテルが効率良く環化できることを見出した。この中員環エーテルの構築法ではケトンないしアルデヒドとアリルクロリドとの間で分子内Barbier型カップリング反応がほぼ定量的に進む。さらに,高希釈条件が必要ないという驚くべき特長がある。まず,7員環エーテルの閉環を行った。THF中で二ヨウ化サマリウムと反応させると,ケトンとアリルクロリドとの間で環化反応が進み,7員環エーテルが定量的な収率で生成した。同様の環化法を用いて8員環エーテル構造を定量的に形成できた。次に,アルデヒドとアリルクロリドとの間でのBarbier型カップリング反応による中員環エーテルの閉環を検討した。この場合、HMPAZを共存させることが必須で、8および9員環エーテルを定量的に閉環できた。アルデヒドから閉環反応が進むと、2級アルコールを生成する。この二級アルコールを手掛かりとして炭素鎖を延長できるため、アルデヒドから中員環が構築できることは合成化学の面から重要である。
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