研究概要 |
1.ジルコナサイクル中間体を利用したエナンチオ場選択的不斉合成の開発 我々はこれまでジルコナサイクル中間体を利用してエナンチオ面選択的な不斉環化反応の開発に成功し既に報告している.この反応をエナンチ場選択的な不斉環化へと展開し,光学活性な環状化合物の合成を検討した.即ち環内に二つの対照なオレフィンと,側鎖にオレフィンをあわせ持つ化合物を光学活性なZr錯体と大過剰のBuMgBrを反応させた.種々条件を検討したところ最終的に75% eeを持つ2環式化合物が51%の収率で得られた.現在他の基質についても検討を加えている. 2.ローダサイクル中間体を経由する新規環化反応の開発研究 ローダサイクル中間体をいかにして効率よく生成できるかについて検討を行い,π-アリル錯体の形成によるローダサイクル中間体の安定化を期待し共役ジエン構造を持つアルデヒドについて検討することにした.ジエンを持つアルデヒドと10mol %の[Rh(dppe)]ClO_4を用いてClCH_2CH_2Cl中加熱還流させたところ,興味深いことにシクロペンタノンはほとんど得られず7員環構造を持つ化合物が収率良く得られた.本結果は予想通り6員環あるいは8員環ローダサイクル中間体を形成し,8員環のローダサイクルから還元的脱離によって得られたものと思われる.種々のジエンを持つオレフィンについて検討を加えた.又ジエンの幾何異性体や置換基の有無についても検討を加えた.その結果はAngew. Chem. Inter. Ed. 2002に投稿し採用された(in press),現在ローダサイクルheの多重結合の挿入反応について検討を加えている.
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