ジメタラ環状ポリエンの一つである1、2-ジゲルマシクロブテンを合成し、その構造をX-線結晶構造解析装置で明らかにした。またパラジウム錯体触媒存在下、アルキン類のゲルマニウム-ゲルマニウムσ結合への挿入反応を研究した。 ゲルマニウム上の置換基がエチル基およびイソプロピル基を有する二種類の1、2-ジゲルマシクロブテンを合成し、その内イソプロピル基の化合物の結晶構造解析に成功した。イソプロピル置換1、2-ジゲルマシクロブテンは長いゲルマニウム-ゲルマニウム結合距離に比較し、炭素-炭素二重結合距離が短く、非常に歪みのある構造である。またゲルマニウムを含む四員環構造は平面構造であった。 テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム触媒存在下、フェニルアセチレンに代表される末端アセチレンはエチル置換1、2-ジゲルマシクロブテンのゲルマニウム-ゲルマニウムσ結合に容易に(室温、1時間)、高収率で挿入する。一方、ジフェニルアセチレンなど内部アセチレンとの反応は、60℃、5時間の実験条件でも挿入反応は起きなかった。これら触媒反応における触媒サイクルを考察し、パラジウム錯体にジゲルマシクロブテンが酸化的付加をした鍵中間体の単離と構造解析を併せて検討中である。
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