エポキシや無水マレイン酸などの反応基を有するポリエチレン(PE)とポリアミド(PA)のリアクティブプロセンシングを行った。反応物の構造を光散乱や電子顕微鏡観察して、生成するグラフト共重合体ミセル量と反応基量の関係を明らかにした。これにより、PE分散粒子の粒子表面間距離(τ)を系統的に制御できることも明らかにした。さらに反応物を電子線照射して三次元網目を形成させた。網目形成に必要な照射量(θ)を、τを短くすることにより直線的に低下できることを明らかにした。τ値を200nm以下にすると、PAリッチ組成(例えばPE/PA=20/80)においてもPE単体に対するθ値と同等の照射で十分に網目形成ができることが判った。グラフト共重合体ミセル形成を介して、PAなどの電子線に対する反応性の低いエンジニアリングプラスチックをマトリックスとする二相系材料の網目形成を可能とする基盤技術を提供するに至った。建材(窓枠)やプリント配線基板の耐熱性・耐炎性の向上に関する指針を与えるものであり、多大の工業的波及効果が期待される。
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