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2002 年度 実績報告書

水素結合による動的制御認識プロセスを用いた分子記憶システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 13031039
研究機関名古屋大学

研究代表者

八島 栄次  名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50191101)

キーワードポリフェニルアセチレン / らせん構造 / 誘起CD / 水素結合 / 誘起らせん
研究概要

らせん構造は、高分子特有の分子不斉にもとづくキラリティーである。生体を構成する多くの高分子はいずれも一方向巻きのらせん構造を形成し、生命活動の維持に不可欠の高度の機能を発現している。これららせん構造の形成には特異的な非共有結合性の水素結合が重要な働きをしている。しかし、これまで合成されてきたらせん高分子はいずれも共有結合からなっており、非共有結合性の分子間水素結合などによりらせん高分子を構築した例はほとんどない。我々は、側鎖にカルボキシル基などの様々な官能基を有するシス-トランソイド構造の光学不活性なポリフェニルアセチレン誘導体が、光学活性体存在下、酸と塩基との相互作用を介して動的な一方向巻きのらせん構造を形成し、長波長領域に特徴的な誘起円二色性(CD)を示すことを見い出している。本研究では、一般に水中ではその形成が困難とみなされている水素結合を駆動力として、水中でもらせん構造を誘起できるかどうかを調べる目的で、アキラルなグリシン3量体を側鎖に有する水溶性のポリフェニルアセチレン誘導体(poly-1)を合成し、オリゴペプチドなどとの相互作用をCDを用いて水中で調べた。その結果、L-アラニンや様々のオリゴペプチド存在下、poly-1のCDスペクトルを水中で測定した結果、過剰量のアラニン存在下では、CDはほとんど誘起されなかった。しかし、アラニンの2量体や3量体が存在すると、弱いながらもpoly-1の主鎖領域に誘起CDが発現し、そのCD強度はアラニンオリゴマーの重合度の増加とともに大きくなる傾向が見られた。すなわち、水中でも、動的な一方向巻きのらせん構造を誘起するのに十分の相互作用が水素結合を介しても可能であることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] K.Morino, K.Maeda, Y.Okamoto, E.Yashima, T.Sato: "Temperature Dependence of Helical Structures of Poly(phenylacetylene) Derivatives Bearing an Optically Active Substituent"Chemistry Eur.J.. 8. 5112-5120 (2002)

  • [文献書誌] T.Nishimura, K.Takatani, S.-I.Sakurai, K.Maeda, E.Yashima: "A Helical Array of Pendant Fullerenes of an Optically Active Polyphenylacetylene"Angew.Chem., Int.Ed.. 41. 3602-3604 (2002)

  • [文献書誌] R.Nonokawa, E.Yashima: "Detection and Amplification of a Small Enantiomeric Imbalance in a-Amino Acids by a Helical Poly(phenylacetylene) with Crown Ether Pendants"J.Am.Chem.Soc.. 125. 1278-1283 (2003)

  • [文献書誌] H.Goto, H.Q.Zhang, E.Yashima: "Chiral Stimuli-Responsive Gels : Helicity Induction in Poly(phenylacetylene) Gels Bearing a Carboxyl Group with Chiral Amines"J.Am.Chem.Soc.. 125(印刷中). (2003)

  • [文献書誌] 前田勝浩, 八島栄次: "高分子へのらせん誘起"有機合成化学協会誌. 60. 878-890 (2002)

  • [文献書誌] E.Yashima: "Chiral and Chirality Discrimination on Helical Polyacetylenes"Anal.Sci.. 18. 3-6 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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