ブロック・グラフト共重合体の自己集合能力を利用した材料設計が研究の目標である。研究は大別して2つある。4つは従来型の共有結合でつながれた新しい分子のナノ構造とそこから生まれる機能を探求するものであり、もう1つは非共有結合型の分子を構築して、外場による結合切断-マクロ相分離-を経てリサイクルにつなげる機能を追求するものである。 A)共有結合型分子 a)ABCA型四元、b)ABCD型四元、c)環状の各々のブロック共重合体を調製してバルク状態のミクロ相分離構造を観察した。a)からは中心対称軸を持たないモルフォロジーが、b)からは四相の六層ラメラ構造が各々初めて観察された。また、c)はその幾何学的拘束力によりバルク中で線状のものより小さい拡がりを持つことがわかった。 B)非共有結合型分子 ポリスチレンの片末端に四級窒素を持つトリメチルアミノ基、ポリイソプレンの片末端にカルボキシル基を導入して、溶液中で混合し、溶媒キャストして膜を得た。このブレンド膜から柱状のミクロ相分離構造が観察された。イオン結合性のブロック型超分子が生成したことを裏付けている。また、アミダイト法を用いてポリスチレン、ポリイソプレンの末端にアデニン型、チミン型の核酸塩基を導入した。現在、これらのポリマーから水素結合型超分子の調製を試みている。
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