室温で液体で、粘度比が1程度のモデル非相溶混合系として、ポリジメチルシロキサン/ポリイソプレン、3/7混合系を用い、高ずり速度で構造を小さくしておき、その後低ずり速度で合一させることにより、凝集過程の研究を行った。その結果、構造がずり速度によって規定できる範囲は、凝集過程の方がずり速度を増加させる分裂過程よりも広いこと、その差により流動誘起構造の大きさのずり速度依存性にヒステリシスが生ずることを明らかにした。 特殊な相互作用のない非相溶モデル混合系として、ポリプロピレン/エチレンオクテン共重合体の3/7混合系を用い、流動下の中性子小角散乱により構造を検討した。流動方向並びに流動に垂直方向の結果をあわせて考えると、ずり速度数十までの範囲では非常に長く引き伸ばされたドメインが存在していると考えられる。 混合系の異種高分子を末端で共有結合させたものに相当するブロック共重合体の、ミクロドメインの流動誘起配向化に対する粘度の影響を、ポリスチレンーポリ2ビニルピリジン二元ブロックと、ポリスチレン-ポリイソプレン二元ブロックを比較試料として、二成分間の相互作用パラメーターを共通の尺度として検討し、粘度の差が大きなもの、すなわち後者において、流動下での揺らぎの異方性が大きくなることを見いだした。また低分子量ブロック共重合体を界面活性剤的に用いると混合系の球状ドメインの安定性が良くなること、環状ブロック共重合体を利用した熱可塑性弾性体の物性を検討し、ループ鎖の割合により弾性率が直線的に低下することを実験的に明らかにした。
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