研究概要 |
高分子混合系の相分離を時空間的に制御するために、下記した二系統の実験を行って来た。 一つは空間変調した条件下で相分離を引き起こし、相分離構造の成長をミクロン域に制限しながらモルフォロジーの特性長分布を尖鋭化する実験と、もう一つは時間変調した条件下で相分離を誘起し、相分離過程を周期的に誘起しながら、モルフォロジーを制御した。得られた結果は次の通りである。 1)空間変調条件下における相分離の誘起:この実験条件では、8mm,100,50,20,10μmの間隔を有するフォトマスクを通して光照射し、相分離する領域をミクロン域に制限・誘発した。結果として、相分離領域が50μmまでは、空間制限の効果が見られないが、50μm以下になると相分離構造の異方性が見られ、20μmになると相分離構造がラメラ状になることが観測された。位相差光学顕微鏡と光散乱によって、得られた相分離構造は2重の周期をもった超格子構造であることがわかった。 2)時間変調条件下における相分離の誘起:相分離を周期的に誘起するために励起光を一定の周波数で遮断することによって試料を周期的に照射し、相分離を引き起こした。照射周波数を1/120Hzから200Hzまで変化させ、構造周期の分布と変調周波数との相関関係を調べた。結果として、ある特定の変調周波数に対して構造周期の分布が最も尖鋭化されることがわかった。一方、照射光のON/OFFの割合を変化させた場合、OFFの時間が長くなるにつれて、周期分布がだんだん狭くなってからある一定の値に達することが見られた。すなわち、光照射過程にOFFの時間を導入することにより、架橋によって生成した弾性歪の緩和はモルフォロジーに対して重要な役割を演じていることがわかった。現在、Mach-Zehnder干渉計を用い、架橋過程における弾性歪の緩和の寄与を明らかにしている。
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