本研究では、ポリマーブレンドの相分離過程を光変調法で制御することを目的として以下に述べる実験を行ったのでその結果の概要について報告する。 1)異なる2波長の紫外光の交互照射による分離・相溶性の制御: Polystyrene/Poly(vinyl methylether)(PSA/PVME)ブレンドにおいてPSA鎖にAnthraceneを化学的に修飾し、365nmと298nmの紫外光を交互に照射して、相分離過程を可逆的に制御した。結果として、365nm.と298nmを交互に照射する時間の比率を変化させると、298nm光の照射時間が長くなるにつれて相分離構造の特性長分布が狭くなることがわかった。 2)架橋されたポリマーブレンドに発生した弾性ひずみの観測: 光架橋によって試料内で発生した弾性ひずみを測定するためにMach-Zehnder干渉計を設計した。これを用い、架橋されたポリマーブレンドのナノメータ領域におけるひずみを非破壊的手法で評価し、モルフォロジーと弾性との相関を明らかにした。 3)架橋と相分離の競合による共連続構造の設計: Methyl methacrylateモノマーに溶かしたPSAの溶液を紫外光照射することによってPSAとPMMAのネットワークを同時に形成させ、相分離を引き起こした。光強度と開始剤の濃度を調整することによって様々なスケールの共連続構造を設計することができた。
|