化学ゲルに関して、(1)通常のモンテカルロ法および(2)Brownian Dynamicsを用いて、生成過程を研究した。Brownian Dynamicsによる方法は、通常のモンテカルロ法よりも、ゲルが動きやすいという長所がある。 (1)により、ゲルの構造に関しては、重合度分布を見た場合に、シングル・ピーク、ロングテイル、2ピークの3つの相があることがわかった。これはゲルの光散乱の緩和関数の分布と定性的に一致する。 (2)のBrownian Dynamicsを用いたシミュレーションにおいて、分子内架橋を禁止した系と禁止しない系を比較した。分子内架橋を禁止した場合に、リンカーが分子間架橋により使われるようになり、ゲル生成が促進されることがわかった。分子外架橋は分子内架橋よりも生成に時間がかかる。部分架橋(リンカーの片方が重合した状態)と分子内架橋は、シミュレーション初期に大量に生成される。 シミュレーションが示すゲル化の閾値は、実験の閾値よりも高い値を示す。この結果は、系が不均一で高分子の密度が高い領域と低い領域があり、高い領域がシミュレーションに対応していると考えられる。 この成果を応用し、今後は生体系のシミュレーションを行う予定である。
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