1.ブタZBP及びZPCの大量精製と結晶化 ブタ卵巣からステンレスメッシュを使って調製した透明帯を加熱可溶化後、エンド-β-ガラクトシダーゼ消化でN-アセチルラクトサミン領域を除去した3成分の透明帯糖タンパク質混合物を逆相HPLCで分別し、約5mgずつの精製されたZPBとZPCを得た。透明帯糖タンパク質3成分には共通なZPドメインが存在し、ZPCのほぼ全長がZPドメインに相当する。そこでまずハンギングドロップ法でZPC(2mg)の結晶化を122条件下で試みたところ、2.0M NaCl/0.1M酢酸緩衝液(pH 4.6)中で小さな結晶が得られたが、その成長は不十分であった。結晶が出来にくいのは糖鎖の不均一性のためと考えられるので、更にβ-ガラクトシダーゼとβ-N-アセチルガラクトサミニダーゼ消化を行い糖鎖を短くしたZPCの結晶化を試みている。 2. ブタZPA及びウシ透明帯糖タンパク質3成分の発現系の構築 大腸菌で発現させた透明帯タンパク質は不溶化しやすいためSf9/バキュロウィルス系で、ブタZPAに特有のN末端領域ドメインおよびウシ透明帯糖タンパク質3成分の発現系を構築した。精子結合活性をもつウシZPBについては4種類の糖鎖付加部位変異体及び2種類のドメイン欠失変異体の発現系も構築した。いずれの発現タンパク質もほぼ精製できたので、結合している糖鎖をレクチンブロットで調べたところ、いずれのタンパク質にも非還元末端にα-マンノースを複数持つN結合型糖鎖の存在が確認できた。
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