研究概要 |
平成13年度は、RNAi関連蛋白質(Dcr、Piwi、Wrnファミリー)の大量発現を検討した。線虫Rde1とMut7、ショウジョウバエDcr1、Dcr2及びAgo2、ヒトKIAA0928とKIAA1567を遺伝子クローニングし、大腸菌での大量発現系を構築した。完全長の蛋白質についてはHisタグ融合でもGST融合でも大量発現することは不可能であったが、Hisタグ融合の部分断片としてKIAA0928のRNaseIII/dsRDBドメインとAgo2のPAZドメインの大量発現には成功した。RNaseIII/dsRBDについては、5℃、蛋白濃度15〜30mq/ml、0.2M MgCl_2/0.1M Tris pH8.5/3.4M 1,6Hexandiolの条件で、針状の結晶を得、現在、結晶化の2次スクリーニング中で、PAZについては1次スクリーニング中である。酵素学的解析の結果、RNaseIII/dsRDBドメインは大腸菌Rncと類似した二本鎖RNA特異的なMg2+要求性のリボヌクレアーゼで、最終産物として10〜70ヌクレオチド長の二本鎖RNA断片を生成すると見い出された。この活性はRNAi酵素複合体の22ヌクレオチド長のみを生じる分解活性と明らかに異なっている。さらに、完全長のRNAi関連蛋白質を得る目的で、小麦胚芽抽出物によるインビトロ蛋白合成系での発現を試験した。調べた全ての完全長RNAi関連蛋白質(Rde1、Mut7、Dcr1、Dcr2、Ago2、KIAA1567)において、蛋白質の発現を確認できた。この結果は、インビトロ蛋白合成系を用いることにより、RNAi関連蛋白質のドメイン解析やRNAi酵素複合体の再構成を可能にすることを意味している。今後は、KIAA0928に絞り、二本鎖RNAの22塩基対毎の切断活性を説明すべく、RNaseIII/RNaseIII/dsRBD蛋白を調製し、構造解析する考えです。
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