研究課題/領域番号 |
13033017
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石浦 正寛 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 教授 (20132730)
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研究分担者 |
石野 良純 株式会社生物分子工学研究所, 主任研究員
井原 邦夫 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助手 (90223297)
杉山 康雄 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (70154507)
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キーワード | 生物時計 / 時計タンパク質 / KaiC / 多量体形成 / 電子顕微鏡 / 立体構造 / 結晶化 / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
多くの生物では、様々な生理現象の活性が約24時間の周期で変動することが知られており、この細胞内のリズム発振分子機構を「生物時計」と呼んでいる。この生物時計は、地球の自転に伴い24時間周期で繰り返される光や温度などの外部環境の変化に適応するための機構と考えられている。我々は藍色細菌で生物時計の中核遺伝子クラスターkaiABCを同定し、その発現機構を分子遺伝学的に詳細に解析してきた。本研究の目的は、「生物時計装置」を構成する時計タンパク質及び時計関連タンパク質の構造と機能を生化学的、構造生物学的に解明することである。 タンパク質科学の研究に適した耐熱性タンパク質を利用するために、日本の温泉から分離され、光合成の光化学系I及びIIのX線結晶構造の解明が行われてきた好熱性藍色細菌Thermosynechococcus elongatusで生物時計の実験系を構築した。kaiABCクラスターをクローニングし、各遺伝子をそれぞれ大腸菌で発現させて各Kaiタンパク質を大量生産し、高度に精製した。時計関連タンパク質PexとSasAも同様に遺伝子をクローニングし、大腸菌での大量調製と大量精製とに成功した。これらのタンパク質を生化学的に詳細に解析している。KaiCに関しては、ATP存在下での多量体形成を発見し、KaiC多量体を電子顕微鏡で観察し、その立体構造を解明した(林ら、投稿準備中)。さらに、X線結晶構造解析を行ってタンパク質の原子レベルでの立体構造を解明するために、各タンパク質の結晶化スクリーニングを進めている。KaiBとPexとでX線結晶構造解析に使えそうな結晶が得られつつある。KaiCはまだ針状結晶の段階であり、KaiAとSasAとではまだ結晶は観察されていない。良い結晶が得られたものから順次X線結晶構造解析を進める。分子量の小さなタンパク質やタンパク質のドメインに関しては、NMRでも並行して解析を進めることを考えている。 今後は「時計装置の原子レベルでの解明」を目指して、時計の本体及びそれに関係するすべてのタンパク質の立体構造を解明してゆきたい。
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