研究概要 |
ゲノム解析の結果,高度好熱菌Thermus thermophilus HB8のDNA修復に関与する酵素は約50種類存在することが明らかにされている。その中の一つであるヌクレオチド除去修復系のUvrA, UvrB, UvrC, UvrD, DNAポリメラーゼ,DNAリガーゼは集合系マシーナリーを形成しているが,その中で中心的役割を果たしているUvrBの立体構造解析を行い,その結果を基にしてUvrAと相互作用するβ-ドメインを発現させることに成功し,そのβドメインを介してUvrAと相互作用することを明らかにした。 また,RNAポリメラーゼがDNAを転写中に傷害に遭遇すると,転写共役因子(TRCF)がRNAポリメラーゼをDNA上から除去してヌクレオチド除去修復系酵素群を呼び寄せることが知られているが,このTRCFもUvrBのβ-ドメインとアミノ酸配列が相同なドメインを持っているので,そのドメインだけを調製してUvrAとの相互作用を解析したところ,UvrBのβドメインと同様に強く結合した。そこでさらに,DNAに傷害が存在する場合のTRCFとUvrA・UvrB複合体との反応機構の詳細な解析を進めている。 その他の集合系マシーナリーとして,ミスマッチ修復系酵素群,組換え修復系酵素群,アミノ酸代謝系などの立体構造解析および分子機能解析も行った。
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