研究概要 |
高度好熱菌Thermus thermophilus HB8のDNA修復に関与する酵素は少なくとも50種類存在することが明らかにされているが、その中で、UvrA, UvrB, UvrC, UvrDなどが関与するヌクレオチド除去修復機構は、様々な種類の障害を認識、修復する系として重要である。高度好熱菌のこれら蛋白質を大量発現・精製し、また蛍光色素を傷害として含む基質DNAを用いてUvrABCの傷害ヌクレオチド除去活性の測定した。一方、ミスマッチ修復系にはMutSやMutLが関与するが、MutSと約30%アミノ酸配列が相同なMutS2と呼ばれる機能未知の遺伝子が存在する事が明らかになった。このMutS2を大量発現・精製し、種々の活性を測定したところ、ミスマッチ修復過程において2本鎖・DNAに非特異的に結合することが明らかになり、MutS2がミスマッチ認識以外の機能を持つことが示唆された。また、Nudixタンパク質は、細胞にとって有害な物質や過剰に増加した代謝産物を分解するhydrolaseの総称で、高度好熱菌には計8種類存在するが、これらNudixタンパク質の量産化・精製を行い、構造・機能解析を行った。その他の集合系マシーナリーとして,組換え修復系酵素群,アミノ酸代謝系などの立体構造解析および分子機能解析も行った。
|