研究課題/領域番号 |
13033031
|
研究種目 |
特定領域研究(A)
|
研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
日び 隆雄 福井県立大学, 生物資源学部, 講師 (00285181)
|
研究分担者 |
黒川 洋一 福井県立大学, 生物資源学部, 助手 (40326088)
高木 昌宏 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (00183434)
小田 順一 福井県立大学, 生物資源学研究科, 教授 (50027041)
|
キーワード | ファイトレメディエーション / 重金属ストレス / 合成酵素 / ファイトケラチン |
研究概要 |
【目的】ファイトケラチンは、植物が重金属ストレスに対する生体防御のために生産するペプチドであり、グルタチオンを基質としてファイトケラチン合成酵素(PCS)の触媒反応によって合成される。PCSは重金属イオンによる活性調節を受けることが知られており、重原子センサードメインの存在が示唆されている。本研究では、植物での重金属に対する生体防御において重要なPCSの活性化機構の分子基盤を明らかにする目的で、大腸菌でArabidopsis thaliana由来PCSの発現系の構築を行った。大腸菌でPCSの発現を試みるとインクルージョンボディを形成し、構造解析に適したサンプルを調製することは困難であったため、蛋白質のフォールディングに関与する分子シャペロンを増強した発現系を用いてPCSの調製を試みた。 【方法】主要な分子シャペロンチームGroES-GroEL(G)、DnaK-DnaJ-GrpE(K)、Trigger factor(T)などの発現量を人為的に制御できるプラスミドを、PCS発現プラスミドを持つ細胞に導入し、シャペロンの発現量を増強した系でPCSの可溶性の改善、ファイトケラチンの生産に対する影響を解析した。 【結果・考察】 G、K単独、あるいはGおよびTを過剰発現させた系ではインクルージョンボディを軽減させる効果は全く見られなかったが、GおよびKの両方を過剰発現させた系ではインクルージョンボディがほぼ解消され、かつPCS可溶性産物が全PCS産物の約20%にまで顕著に増大する効果が見られた。一方、GおよびKを過剰発現させた場合にはPCS発現株のカドミウム耐性が改善され、通常大腸菌が生育できない500μMにおいても生育可能となることが明らかとなった。PCSおよび分子シャペロン発現細胞の抽出液には、DTNBで強い呈色反応を示すファイトケラチンと推定される化合物が検出され、PCSの発現および活性化がin vivoの実験から支持された。PCSの精製については、得られた発現系を用いて現在検討を行っている。
|