ヒトAMF(K03515)をGST共発現組換体として大量精製し、その特異的活性阻害剤(リン酸化単糖)との結合体の構造解析を行った結果から、リン酸基、水酸基、アルデヒド基との会合、および静電気的影響を与えると考えられるAMF中のアミノ酸11残基を推定し、それぞれに負電荷を導入した変異AMFを設計し、組換体として作成した。 変異AMFの活性について細胞運動を評価する実験系で試験した結果、いずれの変異体も有意に活性が減少していた。しかし、水酸基、アルデヒド基との会合に関わると考えられる部位の置換体の活性減少はリン酸基との結合部位に関する置換に比較して穏やかなものであり、AMFの受容体認識にはリン酸基の存在が不可欠であると思われた。AMFは受容体の糖側鎖に結合することが、従来の研究により示唆されているが、その糖側鎖にはリン酸化単糖、少なくともリン酸基が存在すると考えられた。 AMF受容体(L35234)には1箇所だけN-グリコシレーション部位が存在することが知られている。そこでアミノ酸置換により糖側鎖が付加されないマウスAMF受容体遺伝子を作成し、GFP共発現組換体としてヒト由来癌細胞に発現させた。これにマウスAMFを反応させた結果、正常受容体遺伝子を発現させた細胞では、数分以内に受容体の細胞表面からの消失および新たな発現とともに、細胞運動開始の形態変化が観察されたのに対して、糖側鎖を持たない受容体を発現させた細胞では何らの変化も認められなかった。従ってAMFの活性発現には受容体のN-糖側鎖が必須であることが明らかになった。 AMF受容体に強固に結合するAMFとは明らかに分子量の異なる未知蛋白質を見出しているが、これをマウス組織から精製し、アミノ酸配列分析を行った結果、データベース上の仮定蛋白のいくつかに相同性が得られ、現在クローニングを行っている
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