研究概要 |
緑膿菌が産生する異物・薬物排出ポンプは、複数の抗生物質を細胞外に輸出するためこの院内感染起因菌に多剤交叉耐性を付与する。本研究では緑膿菌の異物排出蛋白質MexAB-OprMのうちMexA及びOprMの結晶解析を行い、構造を解く実験を行った。(i)OprM蛋白質は外膜蛋白であるので、複数の界面活性剤の混合中でHanging Top蒸気発散法で結晶化を試みたところ、0.2〜0.5mmの複数の形の異なる結晶を得た。この結晶をR-AXES-IV及びSpring8 BL44XUを用いてデータコレクションを行い、d^*TREK Ver.7.2 beta(LDZ Sep.11 2001)を用いてデータ処理を行った。その結果、空間群はR32、格子定数はa,b,c,alpha,beta,gammaの順に83,49,83,49,1042.56,90,90,120.0であり、Rmerge=0.219,completeness=89.3%(4.28-3.5Å)。このデータを基にCCP4i Ver.1.2.7(data:26 Dec.2001)のmolrepを用いて分子置換法を行った。これを非対称単位中に2分子として計算したところ、OprMの65番から486番までの421アミノ酸中139番から145番のアミノ酸を除し414アミノ酸をトレースした。この時のR=0.564-0.565 Corelation=0.260-0.277であった。現在のところ重原子置換による位相を決定すべく実験をすすめているところである。(ii)MexAに関しても結晶が得られつつあるのでこれから回析を行う予定である。
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