研究概要 |
1.修飾糖鎖の解析について リンゴ銀葉病菌由来エンドポリガラクツロナーゼは4ケ所糖鎖の修飾を受けるが、そのうち、2ケ所(Asn92, Asn161)が修飾されているlaとその脱糖鎖型delaについて超高分解能精密結晶構造解析を行った。さらに、laについては、生成物モノガラクツロン酸との複合体結晶の結晶構造解析を行い、初めてエンドポリガラクツロナーゼの活性中心の位置を同定した。その結果、触媒残基は、Asp173,Asp153,Asp174によって構成されていると考えられた。また、Lys228,Arg226が基質の有するカルボキシル基の認識に重要な役割をすることが示唆された。修飾糖鎖と基質結合部位は離れており、修飾糖鎖が基質結合に与える影響は、ほとんどないことが示唆された。 2.ABCトランスポーターについて ガンの多剤耐性の原因となるMDR1と糖尿病薬スルホニルウレア剤のレセプターであるSUR1について、ヒトおよびマウス由来の遺伝子を用いてバキュロウイルスをベクターにした昆虫培養細胞(Sf-9)による発現系を構築した。そこで、得られた発現系を用いて活性型のタンパク質を大量生産(3リットルの液体培養)できる培養条件を確立した。さらに、カラムクロマトグラフィーにより、電気泳動的に単一な精製標品を得ることに成功した。得られた精製標品をリポソームに再構成したところ、MDRの有するATPase活性を検出することができた。
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