実験システムの構築と、モデル動物作成の第一歩としての課題訓練を行った。 本実験では上丘や視床枕といった脳領域を薬物微量注入で可逆的に遮断して盲視の視覚伝導路である可能性をテストするが、薬物微量注入に際しては、座標を正確に決めることと広い脳領域をカバーすることの両者が必要となる。そこでAPバーを利用した頭部固定装置、及び従来型頭部固定装置との付け替えが可能であるPrimate chairをデザイン、製作した。また、サッカード課題に必要な視覚刺激生成装置、視覚刺激投影機器、及び眼位測定装置を設置してPCを用いた課題制御システムを構築した。 ニホンザル1頭について、頭部固定具及び眼位測定用アイコイルを全身麻酔下に無菌的操作で装着した。以下の2種類のサッカード眼球運動課題をサルに課して訓練を行った。 1.スクリーン上に点灯する点を注視し、その後、その注視点が消えた直後に点灯する別の目標点に向かってサッカードを行い、これを注視する。 2.視野にもう一つ別の目標となり得る点を常に提示しておいてサッカード課題を行わせる。明らかに目標点が別に提示された場合には新たに提示された目標点に向かって視線を動かさなければならないが、もしも最初の注視点が消灯されたにも関わらず新たな目標点の呈示がない場合には、常に呈示されている目標に向かってサッカードを行う。 一次視覚野除去前の現在は両課題とも同様に行えることが明らかとなってきた。次年度は、訓練を重ねて正常対照データ取得後に一側一次視覚野の吸引除去を行って両課題を課し、課題2の選択的な成績低下をもってモデル成立を確認する予定である。
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