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2002 年度 実績報告書

聴覚発声系の可塑性を研究する哺乳動物モデルの確立:ハダカデバネズミの音声と脳

研究課題

研究課題/領域番号 13035006
研究機関千葉大学

研究代表者

岡ノ谷 一夫  千葉大学, 文学部, 助教授 (30211121)

キーワードハダカデバネズミ / 真社会性 / ターンティキング / 下丘 / 上丘 / チトクロム酸化酵素
研究概要

ハダカデバネズミは、ほ乳類には珍しい真社会性を持つ齧歯目である。地下にトンネルから構成される住居を作り、高い血縁関係を持つコロニーで生活している。アリやハチのような作業分担を持つ社会構成を持ち、これに対応して17種以上の音声コミュニケーション信号を使う。聴覚発声神経系の可塑性の研究は、鳥類では非常に進んでいるが、ほ乳類では適当なモデルがなく停滞している。我々はハダカデバネズミが聴覚発声神経系の可塑性を研究する上で格好のモデルとなると考え、この動物を実験動物として確立することを目標に研究を始めた。
当初、イリノイ大学より6匹の動物の分与を受けたが、その後南アフリカ共和国ケープタウン大学より35匹の分与を受け、写真暗室を改造した部屋で飼育を始めた。途中、ウィルス性と思われる伝染病が蔓延し一時は半数近くを失ったが、ようやく飼育が安定し一部繁殖が成功して現在45匹を飼育している。現在では、千葉大学理学系研究棟に飼育施設を開設し一般公開すると共に、行動記載と脳地図の作成を続けている。また、国立科学博物館の遠藤博士との共同研究により、この動物の解剖学的な特殊性が記述されている。
これまで、ハダカデバネズミには個体を弁別するための音声があり、音声のやりとり(Turn Taking)を行うことを発見した。聴覚発声系に重点を置いた脳地図を作製するため、チトクロム酸化酵素の組織化学標本とニッスル染色標本とをスーパーインポーズし、中脳の視聴覚系の体積測定を行った。結果、下丘の発達を確認したが、視覚が退化しているにもかかわらず上丘も発達していることがわかった。上丘は体制感覚に基づく空間地図を表象しているのかもしれない。今後、網膜からの投射を確認し、視覚神経系が体制感覚や聴覚系によって「乗っ取られている」可能性を検討したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Kobayashi, K., Okanoya, K.: "Vocal interactions among individuals in eusocial naked mole-rat"Trans Tech Comm Psychol Physiol Acoust. 31. 233-240 (2001)

  • [文献書誌] Endo, H., Okanoya, K., Park, T.J., Sasaki, M., Tanemura, K., Kimura, J, Hayashi, Y.: "Localization of the cytochrome P450 side-chain cleavage enzyme in the inactive testis of the naked mole-rat"Zoological Science. 19. 679-678 (2002)

  • [文献書誌] Endo, H., Okanoya, K., Matsubayashi, H., Kimura, J., Sasaki, M., Fukuta, K., Suzuki, N.: "Digitized removing of soft parts in a naked mole-rat and a lesser mouse deer with special reference to the thin abdominal structure"Jpn J Zool Widl Med. (in press). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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