研究課題/領域番号 |
13035011
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
入來 篤史 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70184843)
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研究分担者 |
田中 美智雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教務職員 (00057738)
石橋 英俊 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60334439)
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キーワード | ニホンザル / 道具使用 / 頭頂葉 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
ニホンザルは以下の3つの段階を経て、熊手型道具使用を学習・発達させる。第1段階:サルは道具を使用することで遠くのエサを手にすることができるということを学習する。第2段階:体性感覚と視覚の統合による身体像発達によって、エサ取りの成功率が上昇する。第3段階:運動学習が進み、円滑な動きでエサをとることができるようになる。 第2段階では、視覚関連領野から体性感覚領域への神経投射が誘導されていることが予想されたため、神経栄養因子の発現量を解析した。調査部位は、頭頂葉を頭尾方向帯状にいくつかの部位に分けて、それぞれの部位で解析を行った。 第2段階では、頭頂間溝前壁において、BDNFおよびNT-3の発現量が増加していることが定量的PCR法により明らかとなった。さらに、BDNFの内外側発現分布様式をin situ hybridization法を用いて解析したところ、体性感覚野前腕領域および肩領域と推定される領域にBDNFmRNA発現量が多かった。これらのことから、BDNFが第2段階の頭頂間溝前壁において、視覚関連領野から体性感覚領域への神経投射を誘導していることが示唆された。 本研究の遂行により得ることのできる知見は、多種感覚統合機構の理解を通して、我々動物がいかに状況を把握しているかを知る手助けになる。
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