大脳基底核は線条体・淡蒼球・視床下核・黒質なとの大脳皮質下諸核の集合体で、一連の神経回路網をなし、運動機能に基本的に重要な組織である。この部位を責任病巣とする代表的な疾患として、黒質線条体ドーパミン細胞の脱落するパーキンソン病、線条体とくに尾状核細胞の脱落するハンチントン舞踏病などがあり、いずれも働き盛りの人間の身体的および精神的acitivityを奪う難治疾患であり、これらの病気の解明は、社会的にも重要な課題といえる。 線条体には大脳皮質・視床・黒質緻密部などからの入力と、淡窓球・黒質網様部と緻密部への出力があるが、出入力の解析を系統だって解析するのはむずかしいとされている。 私は、現在まで、post-embedding多重免疫電顕法を用いて線条体の出力系つまりGABAergic medium spiny projection neuronおよび線条体内のGABAergic interneuronの解析をしてきたが、そのためにつちかった手法と、このたびオリジンの異なるグルタミン酸終末を識別できる2素類のシナプス小胞性グルタミン酸トランスポーターの候補となる抗体を作製・精製したので、この両者のテクニックを組み合わせることにより、線条体への入力系の解析を行っているところである。
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