Nav2イオンチャンネルの生理機能を明らかにする目的で、Nav2を発現している神経細胞の培養を行い、SBFIによるナトリウムイオンイメージングを行った。神経細胞は、Nav2を発現している脊髄後根神経節(DRG)と脳弓下器官(SFO)から単離した。培養液のナトリウム濃度を上昇させたところ、DRGではすべての細胞で、SFOでは一部の細胞で細胞内へのナトリウムイオンの流入が観察された。こうした現象は、浸透圧だけを上昇させただけでは観察されないことから、細胞外のナトリウムイオン濃度の上昇に伴って起こる特異的な現象である。またこの現象は、細胞外ナトリウム濃度が160mM近辺から生じることから、生理的な細胞外ナトリウム濃度の上昇を神経細胞が検出する機構であると考えられる。イオンイメージングを観察後、抗Nav2抗体で細胞を染色したところ、ナトリウムイオンの流入が観察された細胞は全てNav2を発現していた。またNav2遺伝子欠損マウスから細胞を単離して同様の実験を行ったところ、こうしたナトリウムイオンの流入現象は全く観察されなかった。さらに、Nav2遺伝子欠損マウスから単離した細胞にNav2の発現ベクターを導入したところ、ナトリウムイオンの細胞への流入現象が復活した。以上のことから、Nav2イオンチャンネルは、細胞外ナトリウムイオンの濃度の上昇に伴って開口するナトリウム依存性ナトリウムチャンネルであることが示唆された。以上の研究内容は、現在論文として投稿中である。
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