研究課題/領域番号 |
13035058
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研究機関 | 特殊法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉原 良浩 理化学研究所, シナプス分子機構研究チーム, チームリーダー (20220717)
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研究分担者 |
宮坂 信彦 理化学研究所, シナプス分子機構研究チーム, 研究員 (70332335)
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キーワード | 小麦胚芽レクチン / 神経回路 / 経シナプス性トレーサー / 可視化 / アデノウイルス / Cre / loxPシステム / 視覚経路 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
私たちは、古くから用いられてきた植物レクチンによる神経解剖学的トレーシング技術を最新の発生工学的トランスジェニック技術と融合させて、経シナプス性に特異的神経回路網を可視化する新手法を開発した。これは小麦胚芽レクチン(WGA)遺伝子をトランスジーンとして特異的プロモーターの制御下に特定のタイプのニューロンで強制発現させることによって、産生されたWGA蛋白質がシナプスを介して2次ニューロンへ、さらには3次ニューロンにまで輸送され、機能的神経回路を可視化できるという技術である。これまでにこの手法を用いて、マウス小脳遠心性経路、嗅覚経路およびショウジョウバエ視覚経路の選択的可視化に成功した。当研究課題においては本技術をさらに様々な神経システムに応用するとともに、より詳細な機能的神経回路の可視化を目指した。具体的には(1)WGA発現組換えアデノウイルスベクターシステムの確立、(2)Cre/loxPシステムによるコンデイショナルWGA発現マウスの作製、(3)視覚経路選択的可視化トランスジェニックマウスの作製に成功した。以上のように、WGAトランスジーンを用いる本実験技術は脳研究に有用な様々な実験モデル動物に有効であり、あらゆる神経システムに応用可能な手法であると考えられる。また本研究期間中にGFPなどの蛍光蛋白質とWGAを融合させた分子をニューロンで発現させ、生きたままで特定の神経回路をラベルできるような新手法の開発に着手することができた。これが成功し、異なった機能的神経回路を異なった色の蛍光蛋白質で可視化できれば、神経科学分野における革新的技術になると考えられる。
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