研究概要 |
本年において、EB virusにおける前早期遺伝子群を検討した。いくつかの前早期遺伝子産物のうち、予測される二次構造から膜蛋白と予測される遺伝子産物を探索した。候補として、BFRF1,BFRF2,BARF1,BMRF2,BDLF4を選定した。これらの遺伝子をB95a細胞のgenomic DNAよりPCR法にて増幅し、pTracer-EF1 vectorにクローニングした。発現をA7細胞に導入し検討した。一部の遺伝子は核膜、及び核に局在した。しかし、明らかな細胞表面局在を示す発現は認められなかった。これらをBリンパ球細胞株であるBJAB細胞に導入し、細胞表面におけるMHC classI, MHC classII(DR)をflowcytometryにて検討した。しかしながら、これらの中に明らかな変化を起こすものは認められなかった。さらに、NK細胞に対する感受性の変化をYTS細胞(NK細胞株)にて検討したが、これらの候補の中に、明らかに抑制するものは認められなかった。現在、その他のDNA virusにおける前早期遺伝子群につき検討を拡大しているところである。さらに、本研究の延長として、K3,K5遺伝子の類似遺伝子の検索をhuman genomeにて行った。一次構造上明らかなhomologは認められなかったが、PHD/LAP zinc finger domainを持ち、さらに二次構造が類似している遺伝子群を見い出した。この遺伝子群の中に、BJAB細胞にて抗原提示関連分子の細胞表面における発現を優位に抑制する遺伝子を見い出した。現在、この遺伝子のcharacterizationも行っている。
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