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2002 年度 実績報告書

シナプス形成における成長円錐における開口放出の分子機構の成熟過程とその役割

研究課題

研究課題/領域番号 13041019
研究機関新潟大学

研究代表者

五十嵐 道弘  新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50193173)

キーワード成長円錐 / シナプス伝達 / SNARE機構 / カルシウムセンサー / カルモジュリン依存性キナーゼ / シンタキシン
研究概要

成長円錐からシナプス終末への変化に関する生化学的指標の解明を目標に本研究を行なっている。この2年間の研究で、Ca^<2+>センサー蛋白質の集積が1つの重要な指標になることがあわかった。このようなCa^<2+>依存性の蛋白質間相互作用を検索する過程で、カルモジュリン依存性蛋白質キナーゼII(CaMKII)がシンタキシンとCa^<2+>依存性に結合することを解明した。この結合はカルシウム濃度が神経細胞の静止時の10^<-7>Mから、興奮開始時の10^<-6>Mに上昇したときに急激に生じて、カルシウム濃度が低下すると可逆的に解離することがわかった。また結合は自己リン酸化というCaMMKIIの活性化を伴うことがわかった。この結合はシンタキシンの立体構造変化に対応するリンカードメインという部位で起こり、この結合が神経細胞や内分泌細胞の開口放出に必要なことを確認した。さらに、この結合がどのようなアミノ酸残基の支配を受けているかを検討して、R151,K146,S162,T159の少なくとも4つの残基を含む145-172の28残基が必要であることが明らかとなった。これらのうち、いくつかが変異しているシンタキシンの非神経細胞型アイソフォームの中には、CaMKII結合能がきわめて低いものが見出された。これらの結果は、神経細胞におけるシナプス前終末の機能確立に、CaMKIIの集積による開口放出の厳密なCa^<2+>依存性の確立が大きな意味を有することを示唆しており、現在、ノックインマウスや線虫、ショウジョウバエの変異体作成に着手して、より明確な検証を試みている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Ohyama A, et al.: "Regulation of exocytosis through Ca/ATP-dependent binding of autophosphorylated CaMKII to syntaxin 1A"J Neurosci. 22. 3342-3351 (2002)

  • [文献書誌] Nomura K, et al.: "Minimal residues in linker domain of syntaxin 1A required for the binding affinity of CaMKII"J Neurosci Res. 72(印刷中). (2003)

  • [文献書誌] 五十嵐 道弘: "開口放出関連蛋白質の軸策伸長制御"脳の科学. 24. 1157-1161 (2002)

  • [文献書誌] 五十嵐 道弘: "神経系における新しいCa^<2+>依存性蛋白質間相互作用"新潟医学会雑誌. 299-305 (2002)

  • [文献書誌] 五十嵐 道弘: "伝達物質放出の分子機構"Clinical Neuroscience. (印刷中). (2003)

  • [文献書誌] 五十嵐 道弘(共著;他28名): "脳の発生・分化・可塑性"共立出版. 204 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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