ネコの二次視覚野(18野)及び比較のために一次視覚野(17野)において、テクスチャー刺激を用い視覚刺激を行いながら細胞外記録により神経細胞の反応を記録した。逆相関法により、テクスチャー刺激と明るさの変化による刺激に対する一般化した受容野を測定し、モデルによる予測と比較した。また、両眼視、ステレオ視におけるテクスチャーの役割を探るために、記録したデータを逆相関法により分析し、奥行き方向を含む3次元空間での受容野を求めた。 高い空間周波数のキャリアのコントラストに強弱をつけた振幅変調正弦波をテクスチャー刺激として用い、両眼刺激による相互作用を調べたところ、二次視覚野の細胞にはコントラストの変化による2次の刺激に対して反応を示す細胞が多く見られた。このような反応は従来の線形受容野モデルでは予測できず、非線形な要素を通過した後に空間的な加算を行うようなモデルが必要であることがわかった。このようなモデルにより、従来の受容野の外からの修飾効果とよばれてきた周辺効果は高次の一般化された受容野としてとらえることができることを示した。 また、逆相関法を空間周波数・方位の領域で応用した、サブスペースマッピングによる周波数領域受容野の精密測定を短時間で行い、これを従来の運動する正弦波グレーティング刺激による測定法と比較した。ほとんどの神経細胞について、最適空間周波数と方位を求めるためにはサブスペースマッピングは従来の方法を代替できる効率の良い方法であることを示した。
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