研究概要 |
1.抗APT/TDF抗体で幼虫の脳を染色して共焦点顕微鏡を用いて観察後、三次元像を構築した。その結果、APT/TDFは特定のニューロンで働くのではなく、神経回路網形成においてより一般的な役割を果たしていることが示唆された。 2.TDF/APTを眼で強制発現すると、著しいrough eye表現型を示した。この結果から、TDF/APTが視神経の形成のおいても役割を果たしている可能性が提起された。 3.野生株では抗TDF/APT抗体により、TDF/APTと共にコアクチベーターMBF1とTATAボックス結合タンパク質TBPが共免疫沈殿するが、mbf1欠失変異株ではTBPは免疫沈澱しない。逆に、抗TBP抗体で免疫沈澱すると、野生株ではMBF1とTDF/APTが一緒に落ちてくるが、mbf1変異株ではTDF/APTは共沈澱しない。これらの結果から、MBF1を介してTDF/APTとTBPが複合体を形成していることが示された。 4.mbf1欠失変異株では、apt/tdf変異株と同様にCNSと気管の回路網形成に異常を示すが、トランスジーンからMBF1を供給するとこの表現系がレスキューされた。前年度に得られた結果と総合してCNSと気管の回路網形成において、MBF1がAPT/TDFのコアクチベーターとして働くと結論し、論文にして発表した(Liu et al. Development 130:719-728,2003)。
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