研究概要 |
低分子量G蛋白質のRhoは細胞の形態や細胞膜のラッフリング、平滑筋の収縮、細胞凝集、細胞運動、細胞分裂を制御している蛋白質である。この研究は低分子量G蛋白質RhoAとそのRhoAのシグナル伝達経路に関与する蛋白(特にRho Kinase)の活性を生細胞でリアルタイムに視覚化し、低分子量G蛋白質とそのカスケードの機能をin vivoで解析することを目的としている。 計画は2年度にまたがっており、本年度はRho Kinaseに加えて、RhoA蛋白質と相互作用をすることが知られているRhoGDI, Rhotekin, Citron K蛋白質をクローン化し、Rho蛋白質との相互作用を視覚化することを試みた。RhoGDIなどの蛋白質にYFPを付加した遺伝子を作成し、CFPを付加したRhoAの活性型変異体であるRhoA-V14または不活性型変異体であるRhoA-N19を同時に細胞に発現させCFPとYFPの間のFRET効果を指標に蛋白間の相互作用を観察した。その結果RhotekinにおいてRhoA-V14とRhoA-N19の間で少ないながらFRETの差が見られた。今後蛍光変化が大きくなるようにデザインを検討しDNAの配列を調節していく。また神経細胞での視覚化に応用していく。また本研究領域のメンバーである京都大学の根岸教授と共同研究を行うこととなり、細胞の突起形成に関与すると考えられている新規の低分子量G蛋白質Rnd2とその効果器であるRapostlinとの蛋白間の相互作用を同様の方法で観察した。この試し実験においてFRETの変化が観察されたので、今後Rnd2についても視覚化を進め、神経細胞の突起形成のメカニズムを明らかにしていく。
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