ポリコーム群(PcG)のひとつであるPcl2変異を作成し、HoxおよびInk4a遺伝子座へのインパクトを解析した。Pcl2変異では、他のPcG変異と同様にホメオティック変異が中軸骨格系に観察され、それはHoxの発現変化と相関していた。この変化が、クラス1PcG複合体あるいはクラス2を介して現れるのかを解析するために、それぞれの変異マウスと交配した結果、クラス2複合体との相互作用が重要なインパクトを持っていることが明らかになった。実際、サブストイキオメトリックな量であるが、Pcl2はクラス2複合体の構成成分とともに免疫共沈される。一方、Ink4a遺伝子座においても、クラス2複合体とPcl2は機能的に共役することが、胎児性繊維芽細胞(MEF)を用いた実験から示された。Pcl2変異MEFでは、継代による細胞老化がキャンセルされ、それはクラス2複合体によるInk4a遺伝子座の発現抑制が安定化されるためであることが明らかにされた。すなわち、Pcl2タンパクには、MEFにおいてクラス2PcG複合体を不安定化させる機能があることが証明された。Pcl2は、クラス2PcG複合体の機能調節に重要な役割を果たすことが示されたが、その機序は遺伝子座あるいは細胞種によって異なることが示された。
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