研究課題
骨芽細胞の分化は、主にTGF-β系のBMP-2によってSmadを介した細胞核へのシグナル伝達の結果、誘導される。この分化誘導の制御機構に関しては不明であった。今回、細胞周期開始制御因子のCdk6が、Smadを介したBMP-2からのシグナルによって転写抑制を受けること、この転写抑制が骨芽細胞分化に必須であること、更に、その分化抑制機構の少なくとも一部として、発現したCdk6の活性によってRunx2/Cbfa1転写因子のオステオカルチン遺伝子のプロモータへの結合が妨げられる結果によることを見出した。これによって、細胞周期開始と分化開始の二律背反を保証する制御の一端が明らかになった。DNA複製チェックポイントでATRはChk1をリン酸化・活性化するとされるが、その機構は分かっていない。今回、Chk1には自己抑制領域があり、ATRによるリン酸化でその抑制(Chk1の分子内相互作用)がとかれ、Chk1が活性化することが分った。他方、DNA傷害/複製チェックポイントでChk1はCdc25Aをリン酸化し、その分解を誘導するが、Cdc25BやCdc25Cに対しては分解誘導せず他の機構でそれらを不活性化するとされている。今回、Chk1がすべてのCdc25ファミリーメンバーのC末端アミノ酸を共通にリン酸化し、それらの基質(Cdk/サイクリン)との結合を阻害することを見出した。これにより、Chk1によるCdc25不活性化の普遍的分子機構がはじめて明らかになった。
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