研究課題
当研究の主たる課題であり、発癌の根底機構をなす足場非依存性細胞周期機構の解明に重要な進展があった。当特定領域研究の開始直後、足場消失に伴い、従来知られていたCdk4/6およびCdk2の不活化以外に複製開始点の活性化に必須なCdc6タンパクの発現遮断が起こることを見出したが、この機構の解明が進んだ。転写抑制とタンパク分解の促進によって発現遮断が起こるが、その分解酵素がリソソームのカテプシンであること、足場消失に伴うカテプシンのリソソームから細胞質への放出がPI3キナーゼ-mTORのシグナル経路をmTORの下流で遮断することによって起こること、この放出に強力な癌抑制因子p53タンパクが必要であることを見出した。一方、細胞周期チェックポイント制御に関して、以下の知見を得た。Myt1キナーゼはCdc2の抑制的キナーゼであり、ツメガエル卵の減数分裂においては、Mos/MAPK下流のp90rskキナーゼがMyt1と結合し、その活性を阻害している。本研究では、体細胞周期においてPolo様キナーゼPlx1がMyt1と結合しリン酸化することによってその活性を阻害することを見出した。他方、SCFb-TrCPユビキチンリガーゼのF-boxタンパク質であるβ-TrCPは、様々な基質中の2重にリン酸化されたDSGモチーフ(DpSGFXpS)を認識する。本研究で、ツメガエルおよびヒトのCdc25Aが、β-TrCPによって認識される、新規な非リン酸化型DDGモチーフ(DDGFXD)を持つことが明らかになった。DDGモチーフはツメガエルCdc25Aの唯一の機能的β-TrCP結合部位であり、ヒトCdc25Aでも重要な結合部位であることが判明した。
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