タンパクの分解と輸送による制御

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13043006
• 研究種目: 特定領域研究(A)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 東江 昭夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90029249)
• 研究分担者: 吉田 稔 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80191617) ; 安田 秀世 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (40111554)
• キーワード: M期終了 / 核小体 / SPB / 出芽酵母 / スピンドルチェックポイント / Cdc14フォスファスーゼ / MEN

研究概要

これまで、核小体に局在するCdc14ホスファターゼがMEN(Mitotic Exit Network)の活性化によって核小体から放出され、APCの活性化とSic1の生産・蓄積を引き起こし、その結果CDKが不活性化が起こり、Mきが終了すると説明されていた。しかし、今年度の我々の研究により、MEN因子はCdc14の核小体からの放出には必要では無く、放出されたCdc14をM期終了まで核小体外に止めておく働きをしていることを明らかにした。さらに、Cdc14の核小体からの放出はスピンドクチェックポイントによって抑制されていること、ポロキナーゼCdc5の活性化が必要であることを明らかにした。これまで、核小体に局在するとされていたCdc14がSPBにも存在することを明らかにした。
MEN因子の一員であるCDC15の変異体cdc15-2株からの復帰変異体を分離したところ、その一つに核-細胞質間の蛋白質輸送に関わるカリオフェリンをコードする遺伝子KAP104の変異体が含まれていた。kap104変異がどのようにしてcdc15-2変異をサプレスするかを調べたところ、kap104変異によってSIC1の発現が上昇すること、さらにその原因がSIC1の転写因子であるSwi5の核内への蓄積であることがわかった。

研究成果

• [文献書誌] Iwase, M., Toh-e, A.: "Nis1 encoded by YNLO78w : a new neck protein of Saccharomyces cerevisiae"Genes and Genet.Syst.. 76. 335-343 (2001)
• [文献書誌] Uesono, Y., Toh-e, A.: "Transient inhibition of translation initiation by osmotic stress"J.Biol.Chem.. 277・16(印刷中). (2002)
• [文献書誌] Takahashi, Y., Kahyo, T., Toh-e, A., Yasuda, H., Kikuchi.Y.: "Yeast Ull1/Siz1 is novel SUMO1/Smt3 ligase for septin components and functions as an adaptor between conjugating enzyme and substrates"J.Biol.Chem.. 276. 48973-48977 (2001)
• [文献書誌] Takahashi, Y., Toh-e, A., Kikuchi, Y.: "A novel factor required for the SUMO1/Smt3 conjugation of yeast septins"Gene. 275. 223-231 (2001)
• [文献書誌] Yoshida, S., Toh-e, A.: "Regulation of the localization of DBF2 and Mob1 during cell division of Saccharomyces cerevisiae"Genes Genet.Syst.. 76. 141-147 (2001)
• [文献書誌] Asakawa, K., Yoshida, S., Otake, F., Toh-e, A.: "A novel functional domain of Cdc15 kinase is required for its interaction with Tem1 GTPase in Saccharomyces cerevisiae"Genetics. 157. 1437-1450 (2001)